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脊椎椎間板変性をはじめとする数々の脊椎慢性疾患の発症および進行や脊髄・神経根の圧迫には多くのバイオメカニカルな要因が関与しています。 これらの疾患に対する固定術や神経除圧に際しては、骨のバイオメカニクス、固定材料のバイオマテリアル、脊椎のアライメント・キネマティックスなどに関す る理解が必要になります。近年、脊椎外科領域にも arthroplasty の概念が導入され、バイオメカニカルな観点から多くの新たな治療法が提唱されるようになってきました。これらの新しい治療法に対しては、脊椎脊髄外科医自 身が背景となるバイオメカニクスを理解し、新しい治療法の優劣をコマーシャリズムに惑わされることなく正しく判断する能力が求められるようになると予想さ れます。しかし、脊椎バイオメカニクスはバイオメカニクスの中でも特に難解で、臨床医には敷居が高いのが現実です。本研究会における脊椎バイオメカニクス に関する講演やディスカッションを通じて、脊椎脊髄外科医の脊椎バイオメカニクスに対する関心と理解が深められることを願っています。また脊椎バイオメカ ニクス研究者の立場として、多くの脊椎脊髄外科医のフィードバックを得ることにより、脊椎バイオメカニクスを研究室レベルから手術室・診察室レベルにトラ ンスレートできる場として活用できればと願っています。脳神経外科・整形外科の垣根を越えた多くの参加をお待ちしています。

井上 望
Rush University Medical Center 整形外科 (www.rush.edu)